前回は東京ドームの巨人阪神戦について書いたが、当日のことをもう少し書いてみたい。天気がよかったのと久しぶりの東京と言うことで皇居を半周したことはすでに書いた。スタートは有楽町のビックカメラ。そごう後に開店して久しいが、一度も訪れる機会がなかった。ちょっとした小物を買うために立ち寄ったのだが、何たる人の多さよ、特に入り口近辺はさながら夜店の賑わいである。ちらほらと外人さんの姿も見える。のっけから御登りさん気分にさせられた。
警視庁から国会議事堂あたり。ジョギングするもの、親子や若者たちのサイクリストが目立つ。ゆったりした歩道、整備された街路樹など久しぶりの東京は何か日本でないみたい。右手に見える石垣だけが「日本だよ」と言っている。不思議に思ったのは国会議事堂前。日曜だと言うのに、人影はまばら。閉会中とは言え観光客ぐらい居てもよさそうなものだ。観光スポットとしての関心度が変わってしまったのか。ちょっと寂しい気がした。
さて、ここからが今日のハイライト。三宅坂の信号交差点でのこと。青信号の点滅に妻が速く行こうというのを私が止めた。目が不自由になってからの習慣だ。一人の警察官が、無線で連絡取りながら、信号機を手動操作していた。何でも興味を持つ私の妻が警官に話しかけたら、どうも天皇陛下のお車が通るらしい。と聞いた瞬間、交差点の向こうから、白バイ先導の黒塗りの車が来るじゃないか。我々の目の前を右折していったので、私は思わず脱帽してお辞儀をした。ところがわが妻は「美智子様だ、美智子様だ」と叫んで、手を振ったのである。そうしたら、なんと美智子様が微笑んでこちらに手を振られたのだ。(悲しいかな、私には見えなかったのだが。)そこには警官と我々二人しかいなかった。すなわち、美智子妃殿下はわれら二人に向かって笑顔で手を振られたということなのである。感激、何たる幸運。こんなことは意識して経験できることではない。何かいいことがありそうだ。それにしても、敬礼している男のそばで、小躍りして手を振る女。客観的に見るとこれはかなり滑稽な絵ではないか。妻は興奮して、すぐに子供たちに電話しまくったのは、言うまでもない。
千鳥が淵の戦没者墓苑を初めて訪れた。ひっそりと落ち着いた雰囲気は良いが、その規模の小ささには驚かされる。これでは外国の要人が参るにはお粗末。アメリカのアーリントン墓地を知る私にとって、その落差は余りにも大きい。
靖国神社。ここも久しぶり。関係者には申し訳ないが、ここを訪れても、今回は特別な感慨はなかった。参門の扉に大きな菊の御紋。これを見て、異様な時代スリップの感覚。こちらは観光的な色が強い。境内で東京焼き物市がひらかれていた。休憩所に旧陸軍の軍服を着た男が一人。彼の気持ちを理解したくないと言っている自分が居た。
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